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相続 遺言コラム「公正証書遺言の証人とは?遺言執行者とは?」2014年6月執筆

 相続専門のファイナンシャルプランナー・行政書士の中野庸起子です。このシリーズにおいては「公正証書遺言書について」「生きている間にもできるけれども、遺言でもできること」「生きている間にはできないので、遺言に書かなければ効力が生じないこと」「遺言に書けるけれども法的な効力はないこと」など、公正証書遺言書にスポットをあててお伝えしてきました。

今回は、公正証書遺言書を公証人に作成してもらう際に決めなければならない「遺言執行者」とはどのような役割を担う人なのかについて

 公正証書遺言書作成時に必要な「証人」にはどのような人がなるのかについて、お伝えします。

 実務においては、公正証書遺言書を作成すると決めたときに、まずこれらのことを遺言を残す人に確認していて、遺言で財産を誰にあげるかということと同じくらい重要な内容なのです。

 「遺言執行者」とは?

公正証書遺言書では、遺言を残す人(遺言者といいます)は、自身の遺言書の内容通りに確実に財産の移転の手続きをしてくれるひと、つまり「遺言執行者」を指定することになっています。遺言執行者とは、簡単に言うと遺言を残して亡くなった人(被相続人)の代理人としての権限および義務がある人のことを言います。遺言者が死亡して、遺言書に書かれた内容そのとおりに遺言者が死亡時に残した財産(相続財産)の相続手続きをする際には遺言執行者は被相続人の代理人となるため、スムーズにその内容とおりに財産を取得させたい人へ取得させることができるのです。そのため、遺言書を残すとき、遺言執行者を指定しなければならないわけではないのですが、公正証書遺言書を作成するときは、ほとんど指定するようになっています.

では実務上、遺言執行者はどのようなことをするのでしょうか。簡単に述べます。

 ①被相続人が残した預貯金・株式 有価証券など不動産の名義を、遺言書の内容とおりに変える手続きをします。

② 被相続人が借金などの債務を残していた場合はそれを相続財産から返済する手続きをします

③ 被相続人が生前 貸金庫を借りていた場合は、その貸金庫を開けて中身を確認することができ、また、その金庫を解約することもできます

④相続財産から被相続人の葬儀費用を支払うこと

  次に、遺言執行者にはだれを指定しておくのがいいのでしょうか。遺言執行者として指定できないひとはどのような人でしょうか。実は、未成年者と破産者は遺言執行者になれませんので遺言書で指定できません。

 実務上は 遺言で財産をもらう人のうちから1名もしくは複数名を指定しておくことが多いです。また、弁護士などの専門家を指定しておくこともあります。

 

「遺言の証人」にはだれがなるのか? 

公正証書遺言書では2名以上の証人が遺言の「儀式」のときに立ち会わなければなりません。遺言の儀式とは、公証人が遺言者に遺言書の内容を口授によってすみずみまで確認してもらい、遺言者の署名押印と、証人2名の署名押印をもらう時間のことを指します。この証人になれない人はどのような人でしょうか。 

<証人になれない人のうち主なもの>

①未成年者 ②利害関係が絡む人、つまり「推定相続人」といって、「遺言者が亡くなったら相続人になれる立場にある人」 ③受遺者、つまり、遺言書で財産をもらうというように書かれている人と、その配偶者(夫や妻)、4親等内の親族など

つまり、遺言者の身内は証人にはなれないと考えておいていいでしょう。証人には秘密を守ってくれる友人や職場の人、専門家を選んでおくのが無難だといえますね。 

公正証書遺言書は自分が死んだあとに効力を発揮するものですが、遺言を残すときにも、これらのことを知って、慎重に手続きをしておきましょう。そうすることによって相続が「争続」ではなく「想族」になること間違いなしです。

※このコラムの著作権は中野庸起子に帰属し、無断転載無断使用を禁止します。

Yukiko Nakano

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